コロナ禍における、学校保健を考える
統合実習:地域看護学・学校保健領域
現在、看護学部では、4年次生が統合実習を行っています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、地域看護学の学校保健領域では、残念ながら例年の実習先での実習は断念せざるを得ない状況になってしまいました。しかし、「特別な支援や教育が必要な子どもたちの理解」という学校保健領域の学習到達目標は変更せず、様々な学習内容を取り入れました。
まず、一つ目には、児童発達心理士の前堀告予先生による講義と演習です。内容は、「障害理解」と「応用行動分析 基本編」、「読み書きと言葉の力をのばす:MIMの指導法」についてでした。発達の緩やかな子どもたちにどのような働きかけを行うことが、子どもの心身の発達を促し、自立につなげることができるかについて、障害特性に応じた関わりへの理解を深めました。
学生たちは、演習で「障害をもつ」ことの疑似体験も行いました。子どもの困り感を実際に肌で感じる体験は、学生の新たな「気づき」となったようです。
また、今週14日には「養護概説」の講義にも1コマ参加しました。2・3年次生の養護教諭課程履修生に交じっての聴講でしたが、この日の講義は、女子栄養大学の名誉教授である三木とみ子先生によるZoomの遠隔授業でした。三木先生は、時代が変化しても変わらない養護教諭の「職務役割」と、時代とともに変化していく養護教諭の「機能役割」について、またその重要性についての貴重なお話をしてくださいました。その中で、学校という場所で「養護教諭」だからこそできる「健康相談」の重要性に、学生たちは熱心に耳を傾けていました。特に、コロナ禍における子どもの心の問題について触れ、今、学校現場では高い専門性をもった養護教諭が求められていることも説明をしてくださいました。三木先生の熱のこもった養護教諭の魅力についての講義は、学生の心に響いていたようでした。
実習中の学生たちはこの2週間を通して、「発達障害を抱える子どものコロナ禍における事例検討」に取り組んでいます。
2週目に入り、学校におけるヘルスアセスメントを基に抽出された看護上・教育上の問題について、看護的・教育的支援方法や計画を考えている最中です。17日には障害のある子どもをもつ保護者の座談会に参加し、親の気持ちや保護者への対応について理解を深めることにしています。前堀先生や三木先生の貴重な講義を聞き、また保護者からの生の声を通してさらに具体的な支援方法を見出していってくれることを期待しています。
看護学部 津田聡子