統合実習(慢性看護学)に向けた学内演習の紹介
今日は、4年次に行われる「統合実習」に向けた成人看護学(慢性看護学)領域で行った学内演習の様子をご紹介します。
統合実習は、これまでの臨地実習での学びを総括し、自分の力量を理解しながら、より主体的に取り組むことが求められる実習です。特に、複数の患者さんを受け持ち、優先順位を考えて行動計画を立案し、チームの一員として行動するなど「専門職業人として働く」ことを意識した内容・方法で進められます。
数多くの実習を乗り越えてきた4年生ですが、統合実習では、これまでと異なり、複数の患者さんを受け持ちますので、各患者さんに必要なケアや処置は何か?何が優先されるのか?どの順序で計画するのか?それはなぜか?と頭を悩ませることでしょう。
そのため、成人看護学(慢性看護学)領域では、4年生が実習に適応し、手ごたえを得られるように、実習に先立ち、「脳血管疾患や糖尿病などの慢性疾患をもつ二人の患者さん(仮)を同時に受け持ち、行動計画を立てて看護援助を行う」という模擬演習を行いました。
演習前に、4年生は、患者さん(Aさん、Bさん)の事例を読み込み、二人へのケア・処置を組み込んだ1日の行動計画を立ててきました。
午前の演習では、まず6名ずつのグループに分かれ、さらに3名ずつの小グループで、自分たちが立ててきた行動計画を見直すところから開始しました。
『AさんへのケアとBさんの処置が同じ時間帯に被っているけれど、それは可能だろうか』、『なぜこの処置を優先するのか?』、『準備をいつ、どのくらいの時間で行うのか?』3名は頭と知恵を寄せ合い、1つの行動計画へと修正しました。
午後の演習では、6名のグループで、看護師役、患者さん役を設定し、行動計画に沿って看護援助を実施しました。3名ずつの小グループが実施し、それを別の3名がオブザーバーとして観察する形式で行いました。
看護師役の学生が、Aさんの痰の貯留具合をアセスメントし、口腔・鼻腔吸引を行っています。それをオブザーバー役の学生が、真剣に観察しています。思わずBさん役の学生までもが見入っています。
看護師役の学生が、Aさんの処置に集中しているその裏で、Bさん役の学生と教員が、看護師役の学生の混乱を誘うかのような、お手洗いコールを画策しています。これは、対応すべき状態が同時に生じた場合の判断と行動のトレーニングのためです。
看護師役は、最初は慌てましたが、その後、Bさんのお手洗いを無事に介助できました。
看護援助が終わった後に、グループで振り返りを行いました。看護師役、患者役、オブザーバー役の学生が、それぞれの立場から意見を述べ合いました。
看護師役の学生に対し、皆が『こうするとよいと思う』などポジティブに助言したり、できていたことを伝えたりしていました。その人の力を引き出しながら対象を看る看護学生ならではの、やさしさと相手を尊重する姿勢が窺えました。
真摯に、しかし楽しそうに振り返る様子に、教員も一安心です。
最後の実習で、存分に力を発揮できますように。頑張ってください。
成人看護学(慢性看護学)領域 樺澤三奈子