2019年3月19日 (火)

🌸「存在を肯定する」作業について考える研究会🌸
参加を希望される方は、別紙申込書に必要事項をご記入の上、4月28日(日)までにメールまたはファックスにて参加申込書に必要事項ご記入のうえお申込みください。

メールアドレス:akiko-t@seirei.ac.jp   
FAX:053-439-1406...
            
【日  時】 2019年4月29日(月)13:00~17:00(受付12:45~)
【会  場】 クリエイト浜松 第22会議室
【主  催】 聖隷クリストファー大学大学院田島ゼミ、作業療法を社会学・障害学する研究会
【対 象 者】どなたでも参加できます
【内 容】
「存在を肯定する」。誰が誰の「存在を肯定するのか」。なぜそれは大事なことなのか。「存在を肯定する」とはどういうことか、どのようにしたら「存在を肯定」したことになるのか等、素朴に考える時間にしたいと思っています。

●話題提供してくださる方
西野歩さん(煌めく返り花プロジェクト代表・作業療法士)
 ・作業療法士として大学病院での勤務をするうちに、作業療法は何をする仕事なのか悩む。作業科学に出会い、健康の方に作業の視点があることに感動し、その後学び続ける。現在は高齢者シェアハウス設立を目指している。
・作業科学を学ぶことが、高齢期シェアハウス設立を目指すことにどのようにつながったのか報告する。

田中順子さん(川崎医療福祉大学・イムズミュージック主催・作業療法士)
・音楽講師を経て作業療法士に転身。関節リウマチの発病によりピアノ演奏という生きがいの喪失を体験。コミュニティー密着型音楽活動“イムズミュージック”を主宰。
・障害者と非障害者という区別を排し、社会を変えることを目指したコミュニティー密着型音楽活動紹介し、現在の地域作業療法のあり方について問題提起する。

西村博史さん(笠寺精治寮病院・作業療法士)
 「存在を肯定する」作業療法とはどのようなものかについて、主に精神科の視点から言えることはあるのかと日々考えています。大学院でしている研究は、その基礎となる作業療法の歴史や、作業療法士資格化の経緯についての調査が中心です。当日、皆様と共に学べることを楽しみにしています。


会場:クリエイト浜松 第22会議室
・ 〒430-0916 浜松市中区早馬町2番地の1 2階
・ 053-453-5311(代)
http://www.hcf.or.jp/facilities/create/ 
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研究会参加申込書   申込日:   年  月  日

●お名前:                    

●ご所属:                    

●ご職業:
医療・福祉職
教育職
会社員
学 生
無 職
その他(                )

●ご連絡先:〒                                   
TEL:                FAX:                

●PCメールアドレス                                

※学習会終了後に懇親会を予定しております。参加は任意ですので参加の意思をお知らせください。
該当するものに○印をご記入下さい。
●懇親会(任意) :   参加する  ・  参加しない

2019年2月14日 (木)

 本書であるが、既に書かれたものの再録やそれの大幅な加筆で成り立っており、執筆者の田島が編著である『「存在を肯定する」作業療法へのまなざし-なぜ「作業は人を元気にする!」のか』(三輪書店)(以下、作業療法へのまなざし)の第2章の文章が、本書の第12章に収められている。

 著者の立岩真也氏は、ともすると置き去りにされがちな障害や病をしっかりと掬い取ったうえで壮大な社会理論の構想をしていることで知られる著名な社会学者であるが、立岩氏の社会に対しての問いの視点は一貫している。それは、「この社会における所有に関する規則とそれに関わって生じる財の配置と能産的であることで人は価値を有するという価値」(p98)である。そして、それについては、ポストモダンと呼ばれる懐疑的思想の流行っている現代においても、あまり変化はしておらず、そうした意味において社会はあまり変わっていないと言う(p97)。

 本書は3部に分かれていて1では、本書のタイトルにもなっている「不如意の身体」をめぐる社会のあり様とその問題点、解法が解きほぐして書かれてある。「不如意の身体」とは、①できない、②異なる、③痛い、④死、⑤加害、であるが、どれも障害や病によって往々にして生じるものであり、したがって本書を読むと、障害や病をめぐる社会の対し方が隅々まで解読できる感触を持つ。

 2では、障害に関する理論的な2著作である星加良司『障害とは何か―ディスアビリティの社会理論に向けて』(生活書院)、榊原賢二郎『社会的包摂と身体―障害者差別禁止法後の障害定義と異別処遇を巡って』(生活書院)(立岩氏は本書のなかで、この十数年の間に世界で2つだけ出された、と評している(p249))、の理論的検討を行っている。2著作とも障害学という学問に関わる本であり、障害をどのように定めるか、あるいは浮きぼるか、といったことをめぐる理論的な到達点を示すコアな箇所でもある(ので無理して読まなくてもよいかも知れない)。

 リハビリテーションに関わるのは3である。正確に言うと、3と1の第3章がそれにあたる。立岩氏がいつも注目するのは本人と専門家の対立や亀裂が起こっている場面である。だからこそ専門家がリハビリテーションの対象者に対して、何をして、何をしてこなかったかが明るみになってくる。『作業療法へのまなざし』で立岩氏の文章を田島が読解した文章を繰り返す。「「なおす」というような作業療法の営みが、障害に対して「できること」を促すことに重きが置かれがちになるということ[略]現行の作業療法の職分が、こうした社会の価値や規則をみたときに、必ずしも対象とするクライアントにとって利益のある働きかけばかりでなく、それが対象者にとっての不利益な状況を維持することに加担する可能性がある」(p142‐3)。リハ職のあり方を、効果検証という本質主義的手法のみならず、構築主義的手法で明るみにするという方法もあると思う。立岩氏は(以前も現在も)、「なおす」「なおる」ことをめぐり起こったこと、言われたこと、考えられたこと(p341)を調査してくれる人を募集中です[連絡先:TAE01303@nifty.ne.jp]。

 

2017年3月27日 (月)

 

 2016年11月17~18日に行われた身体障害者リハビリテーション研究集会2016で、講演、シンポジストの役を務めさせていただきました。この研究集会は、全国身体障害者更生施設長会、全国身体障害者更生相談所長協議会、国立障害者リハビリテーションセンターが主催し、毎年行われているもので、全国の障害者支援施設、身体障害者更生相談所に勤務する方々が主たる参加者になります。

 「障害受容再考」というタイトルにて講演させて頂くとともに、その後に時間に行われた「旧更生施設の今後の在り方を探る~めざすべき独自性とは~」というタイトルのシンポジウムにてシンポジストも務めさせていただきました。

 実は作業療法士養成校を卒業後、10年近く身体障害者更生相談所に勤めいていたことがあり、なつかしく思い出すとともに、当時と現状の異なりを痛感する機会となりました。時代の流れが介護保険制度主流となり、2号被保険者が対象となる(旧)更生援護施設において利用者獲得の難しさがあり、それをどのように克服していったらよいか、といった点が中心となる話題でした。

 旧来の中央集権的施設入所の体制から地域点在型へのシフトが必要ではないか、あるいは、(旧)更生援護施設で行われる生活訓練のノウハウを、もっと、他施設に伝達し、連携強化を図っていくべきではないか等、様々なディスカッションが行われました。

 

 

 

 

 

2017年3月25日 (土)

 大阪大学の村上靖彦先生にご恵贈いただき、丁寧に読んでご紹介しようと思っていたら、なんと今になってしまいました。ご無礼どうかご寛恕くださいましたら幸いに存じます。
 哲学が取扱う射程や現象学的研究方法が専門職の実践に絡み合うと、実践に奥行がこれだけ広がって見えるものかと大変面白く拝読しました。
 先生は「プラットホーム」という交錯の場を表現し、実践の規範と自由(楽しさ、創造性、共同性・・)の折り重なり、逆に言えば、相対立するかに見えるもの共存や相互影響について、看護師の語りから析出なさっており、専門職の実践の魅力はまさにそこだよな、それがあるからこそ、専門職は実践のなかに主体を創りあげることが可能になるのだよなと感銘を受けました。
 最終章では「現象学的なナラティブ研究の方法論」という副題の章を設けておられ、決して長い文章ではないのですが、エッセンスが濃縮した、とても示唆に富む素晴らしい章だと思いました。
 たとえば、現象学的研究をするとき、「真理は触発力を持つ現象=リアリティが生起する構造」(p228)だと書かれてあります。それは普遍だからではなく、むしろ特異性を内包しているがゆえだ、というのです。確かにそうだと思いました。先生のご著書を読んでいると、「そうそう!」と熱いものが込み上げる瞬間が幾度かあるのです。それは文章に書かれた意味が私の心と共鳴し、触発を受けた瞬間だと思うのです。唯一な経験を研究する、その結果の真理は、人の心に投げかけるものがあるかどうかにかかっているということを表現されているのだと思います。それこそが、その章のタイトルである、「現象とはリアリティ」ということの神髄なのだとも思いました。
 素晴らしいご著書を執筆くださり、またご恵贈くださり、本当にありがとうございました。

以下は、出版社による著書の紹介のURLです。

http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b217860.html

2016年10月31日 (月)

 

テーマ:ピア・サポート

日時   H28年12月10日(土曜日) 13時~16時30分

場所   クリエート浜松中部協働センター5階51会議室   

             遠州鉄道西鹿島線「遠州病院駅」すぐ、JR浜松駅より徒歩8分       

             住所:浜松市中区早馬町2番地の1

参加費   一般・大学院生:1000円 学生500円

参加申し込み  期日:2016年12月8日   

<プログラム>

○13時~14時15分○

◇基調講演:伊藤智樹先生(富山大学人文学部准教授)

◇テーマ: 「ナラティヴ・アプローチからみるピア・サポート -物語の聞き手について考える」

・伊藤先生のご紹介:セルフヘルプ・グループ(自助グループ)へのフィールドワークを行ないながら、人々が行なう「病いの語り」を研究テーマとして活動。 ・著書:編著『ピア・サポートの社会学――ALS、認知症介護、依存性、自死遺児、犯罪被害者の物語を聴く』(晃洋書房、2013年)ほか

○14時30分~15時30分○

◇発表者:神田太一氏(聖隷クリストファー大学 リハビリテーション科学研究科)

◇テーマ:「脊髄損傷者のピア・ポート 障害経験を活かした役割」

○15時45分~16時30分○

◇発表者:木村奈緒子氏(東京医療学院大学 作業療法学専攻)

◇テーマ:「回復期リハビリテーション病棟におけるピア・ボランティアの効果」

問い合わせ先:田島明子 akiko-t@seirei.ac.jp

2016年10月26日 (水)

 2016年10月1日(土)、14時から16時30分、石川県リハビリテーションセンター 4階大研修室にて講演をさせていただきました。石川県内でリハビリテーションにかかわるPT、ST、OT、50程度の皆様が参加なさっていました。

 それにしても2時間30分も人の話を聴くのは苦痛以外の何ものでもないです。そういうわけで私の話は1時間15分程度、残りの時間はグループワークを行いました。グループワークの課題は2つ、①対象者の「障害受容」が難しいと感じた経験について、②対象者のよりよい暮らしのためにどのようなサポートするとよいと思うかでした。最後に各グループに発表をしていただきましたが、信頼関係づくり、チームアプローチ、患者会・ピアサポートの紹介など、経験を踏まえたいろいろなアイデアを共有しました。グループワークがよかったという感想が多かったです。おそらく忙しい臨床ではこのようなテーマでじっくり療法士としての経験をシェアしあう時間がないのではないでしょうか。そういう時間を持てると臨床の活力につながるのではないかと感じた時間でもありました。

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2016年9月20日 (火)

はじめまして。院生の岩田祐美です。平成28年9月9日から11日まで北海道札幌市で開催された第50回日本作業療法学会に参加、発表してきました。私は「国外での作業的公正における作業療法士の介入と規範に関する文献レビュー」というタイトルで発表させていただきました。内容は、「作業的公正」についての英語論文を読み、自分なりにまとめたものです。理不尽で不当な差別を受けることなく、すべての人が自分とその社会にとって意味のある作業ができるような状態である作業的公正は作業療法においてとても重要な概念であるにもかかわらず、まだまだしっかりとした概念が確立されていない現状があります。海外での現状を日本でどう生かすのか、微力ではありますが今後も少しずつ勉強していきます。

個人的には久しぶりに参加した全国学会でしたが、多くの分野から参加する学会ならではの発表の出会いなどもあり、やはり参加する意義があると実感しました。市民公開講座やシンポジウムも面白い題材であっという間に時間が過ぎましたし、他の方々の口述・ポスター発表を拝見するとこちらの勉強になりますね。

来年は東京で開催されるとのこと。できればまた参加して多くの方々とディスカッションしたいと思っています。

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2016年7月 1日 (金)

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 2016年6月29日、立教大学(新座キャンパス)で「障害受容について考える」というテーマで講演をさせて頂きました。 

 堀越喜晴先生*の担当なさっている障害学入門という講義でお話しをさせて頂きました。

 「障害受容」という言葉への違和感から出発した私自身の足取りは、私を形成する重要な要因になりました。そうした経験をお話しすることで、障害学という視点が、自分事として考えるきっかけになるものだということが学生さんに少しでも伝わったら嬉しいなと思います。

*堀越喜晴 (ほりこしよしはる)
所属団体 日本キリスト教文学会、C.S.ルイス協会、「言語と文学」研究会
職位:明治大学政治経済学部講師、立教大学講師、相模女子大講師 専攻:言語学・キリスト教文学

 

2016年6月13日 (月)

 最近、大変勉強になる学習会や研究会に参加させて頂く機会が結構あり、お声かけ頂かないことにはそのような学習会や研究会の存在すら知らない訳ですので、大変ありがたく思っています。

 さて、そのなかで、今回はVHO-net東海学習会の参加の感想を書こうと思います。

 この学習会は、ファイザー株式会社が社会貢献の一貫として資金援助を受け、運営しているのですが、筋ジス、CMT、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、ベーチェット病など、各障害・疾患の団体のリーダーが集まって成り立っており、私が参加したときには20名程の参加者がありました。内容は、講演会活動の模擬練習、社会資源(会議が行える施設)の情報共有などをしていました。

 個別の作業的な視点でみると、講演講師という役割活動でのスキルアップ、地域資源へのアクセシビリティの向上などが期待できるのかなと思いました。

 私が強く印象に残ったことが障害・疾患を超えた集まりである点でした。同じ障害を持った当事者団体の活動はよく見かけるのですが、そうではないこのような集まりは初めてだったのです。

 ただよくよく考えてみると、各団体のリーダーの課題は、障害・疾患による否定的な経験を肯定的な経験へと変換する作業的機会を創出する、そのために、社会との交流を増やしていくことで共通しているのではないかと思いました。

 今日、講義のなかで、久しぶりに作業療法士の藤原茂先生が行う夢のみずうみ村についてのNHKの番組を見ましたが、「障害を持ったからこその楽しい・輝く人生」という言葉が心に深く残りました。それと同じことではないかと思うのです。障害・疾患による否定的な経験は社会から与えられる部分が多々あると思います。それをいかにご本人にとって肯定的な意味を抱ける経験に変換していくか。それは作業的な機会を操作する作業療法士にとって最もやりがいのある仕事であると藤原茂先生の番組を見て、あらためて思いました。

 そのことに関して当事者団体と作業療法士は同じ方向を向いています。だからこそ、一緒に何かを探りあてていくなかで、障害・疾患を持つ人にとって楽しい豊かな暮らしの創造につながってゆけるのではないかと感じたしだいです。

 

2016年2月19日 (金)

 

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 2012年からはじめた「障害受容について/から考える研究会」のメンバーが中心になって論考を執筆しています。

 いろいろな立場の人がメンバーになっておりまして、実際に身体に障害を持つ人、障害を持ちつつ支援を行う人、作業療法士という立場から執筆しています。

 いろいろな立場の人が執筆したものを一冊の本にまとめるというのは読み手にとってみると、一貫性のなさを感じ、つなぎ合わさらないパズルのピースを持たされたような、ちょっとした不快感を感じてしまう可能性があります。

 しかし編者として全体を読み通してみると、不思議と主張に共通性があるなと思えまして、本書のまとめとして下記の4点に整理しました。

1.完全に「障害受容」することなどできない。

2.専門家・支援者は「障害受容」は対象者に絶対に押し付けるな!

3・専門家・支援者は「障害受容」を求めるのではなく、サービスの選択肢の少なさや障害に対する負の烙印を問題視すべきである。

4.「障害受容できていない」と思わせる人は「孤立した状態にいる」と捉え、行為レベルで一歩でも踏み出し、その人にとって希望の感じられる仲間(もちろん自分がなってもよい)やその人にとっての目前の課題をクリアできる支援につながるよう働きかけよう。

 ぜひ手に取ってご一読をお願いいたしますlovely