2017年3月

2017年3月27日 (月)

 

 2016年11月17~18日に行われた身体障害者リハビリテーション研究集会2016で、講演、シンポジストの役を務めさせていただきました。この研究集会は、全国身体障害者更生施設長会、全国身体障害者更生相談所長協議会、国立障害者リハビリテーションセンターが主催し、毎年行われているもので、全国の障害者支援施設、身体障害者更生相談所に勤務する方々が主たる参加者になります。

 「障害受容再考」というタイトルにて講演させて頂くとともに、その後に時間に行われた「旧更生施設の今後の在り方を探る~めざすべき独自性とは~」というタイトルのシンポジウムにてシンポジストも務めさせていただきました。

 実は作業療法士養成校を卒業後、10年近く身体障害者更生相談所に勤めいていたことがあり、なつかしく思い出すとともに、当時と現状の異なりを痛感する機会となりました。時代の流れが介護保険制度主流となり、2号被保険者が対象となる(旧)更生援護施設において利用者獲得の難しさがあり、それをどのように克服していったらよいか、といった点が中心となる話題でした。

 旧来の中央集権的施設入所の体制から地域点在型へのシフトが必要ではないか、あるいは、(旧)更生援護施設で行われる生活訓練のノウハウを、もっと、他施設に伝達し、連携強化を図っていくべきではないか等、様々なディスカッションが行われました。

 

 

 

 

 

2017年3月25日 (土)

 大阪大学の村上靖彦先生にご恵贈いただき、丁寧に読んでご紹介しようと思っていたら、なんと今になってしまいました。ご無礼どうかご寛恕くださいましたら幸いに存じます。
 哲学が取扱う射程や現象学的研究方法が専門職の実践に絡み合うと、実践に奥行がこれだけ広がって見えるものかと大変面白く拝読しました。
 先生は「プラットホーム」という交錯の場を表現し、実践の規範と自由(楽しさ、創造性、共同性・・)の折り重なり、逆に言えば、相対立するかに見えるもの共存や相互影響について、看護師の語りから析出なさっており、専門職の実践の魅力はまさにそこだよな、それがあるからこそ、専門職は実践のなかに主体を創りあげることが可能になるのだよなと感銘を受けました。
 最終章では「現象学的なナラティブ研究の方法論」という副題の章を設けておられ、決して長い文章ではないのですが、エッセンスが濃縮した、とても示唆に富む素晴らしい章だと思いました。
 たとえば、現象学的研究をするとき、「真理は触発力を持つ現象=リアリティが生起する構造」(p228)だと書かれてあります。それは普遍だからではなく、むしろ特異性を内包しているがゆえだ、というのです。確かにそうだと思いました。先生のご著書を読んでいると、「そうそう!」と熱いものが込み上げる瞬間が幾度かあるのです。それは文章に書かれた意味が私の心と共鳴し、触発を受けた瞬間だと思うのです。唯一な経験を研究する、その結果の真理は、人の心に投げかけるものがあるかどうかにかかっているということを表現されているのだと思います。それこそが、その章のタイトルである、「現象とはリアリティ」ということの神髄なのだとも思いました。
 素晴らしいご著書を執筆くださり、またご恵贈くださり、本当にありがとうございました。

以下は、出版社による著書の紹介のURLです。

http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b217860.html