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2017年3月25日 (土)

 大阪大学の村上靖彦先生にご恵贈いただき、丁寧に読んでご紹介しようと思っていたら、なんと今になってしまいました。ご無礼どうかご寛恕くださいましたら幸いに存じます。
 哲学が取扱う射程や現象学的研究方法が専門職の実践に絡み合うと、実践に奥行がこれだけ広がって見えるものかと大変面白く拝読しました。
 先生は「プラットホーム」という交錯の場を表現し、実践の規範と自由(楽しさ、創造性、共同性・・)の折り重なり、逆に言えば、相対立するかに見えるもの共存や相互影響について、看護師の語りから析出なさっており、専門職の実践の魅力はまさにそこだよな、それがあるからこそ、専門職は実践のなかに主体を創りあげることが可能になるのだよなと感銘を受けました。
 最終章では「現象学的なナラティブ研究の方法論」という副題の章を設けておられ、決して長い文章ではないのですが、エッセンスが濃縮した、とても示唆に富む素晴らしい章だと思いました。
 たとえば、現象学的研究をするとき、「真理は触発力を持つ現象=リアリティが生起する構造」(p228)だと書かれてあります。それは普遍だからではなく、むしろ特異性を内包しているがゆえだ、というのです。確かにそうだと思いました。先生のご著書を読んでいると、「そうそう!」と熱いものが込み上げる瞬間が幾度かあるのです。それは文章に書かれた意味が私の心と共鳴し、触発を受けた瞬間だと思うのです。唯一な経験を研究する、その結果の真理は、人の心に投げかけるものがあるかどうかにかかっているということを表現されているのだと思います。それこそが、その章のタイトルである、「現象とはリアリティ」ということの神髄なのだとも思いました。
 素晴らしいご著書を執筆くださり、またご恵贈くださり、本当にありがとうございました。

以下は、出版社による著書の紹介のURLです。

http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b217860.html

2016年2月19日 (金)

 

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好評発中ですhappy02

 2012年からはじめた「障害受容について/から考える研究会」のメンバーが中心になって論考を執筆しています。

 いろいろな立場の人がメンバーになっておりまして、実際に身体に障害を持つ人、障害を持ちつつ支援を行う人、作業療法士という立場から執筆しています。

 いろいろな立場の人が執筆したものを一冊の本にまとめるというのは読み手にとってみると、一貫性のなさを感じ、つなぎ合わさらないパズルのピースを持たされたような、ちょっとした不快感を感じてしまう可能性があります。

 しかし編者として全体を読み通してみると、不思議と主張に共通性があるなと思えまして、本書のまとめとして下記の4点に整理しました。

1.完全に「障害受容」することなどできない。

2.専門家・支援者は「障害受容」は対象者に絶対に押し付けるな!

3・専門家・支援者は「障害受容」を求めるのではなく、サービスの選択肢の少なさや障害に対する負の烙印を問題視すべきである。

4.「障害受容できていない」と思わせる人は「孤立した状態にいる」と捉え、行為レベルで一歩でも踏み出し、その人にとって希望の感じられる仲間(もちろん自分がなってもよい)やその人にとっての目前の課題をクリアできる支援につながるよう働きかけよう。

 ぜひ手に取ってご一読をお願いいたしますlovely