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2016年9月

2016年9月28日 (水)

2016年 言窓会

教員の谷哲夫です。

9月17日に本学言語聴覚学科の卒業生が組織・運営している

「言窓会」の研修会でお話をする機会に恵まれました。

タイトルを「WAB失語症検査の特徴―SLTAとの比較」として、

WAB失語症検査(以下、WAB)の特徴を説明しました。

 

WABの特徴はなんと言っても重症度を数量化できる点です。

失語指数や言語能力指数といった指標で

多くの失語症者との比較・検討ができます。

 

さらに、WABは急性期の失語症評価に優れています。

つまり、「自発話」「話し言葉の理解」「復唱」「呼称」の

4つの検査項目を実施すれば失語指数が算出できるのです。

 

ベッド上で無理なく実施しながら失語指数が算出できる点は

「群馬脳卒中医療連携の会」の急性期病院STにも評価され、

群馬脳卒中クリティカルパスにおけるリハビリ報告書では

失語症評価はWABの失語指数を記載することになっております。

 

参加した卒業生たちのほとんどが普段の臨床で

WABを使用したことはないということでしたが、

この機会に試してみたいという声があったことは幸いでした。

いずれにしても、病院、施設の機能に合致した検査バッテリーを選択できると良いと思います。

 

このような機会を与えてくださった

「言窓会」の運営関係者の皆様に深謝いたします。

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2016年9月21日 (水)

失語症者のグループ訓練

本学では1ヶ月に1度、慢性期の失語症者を対象にグループ訓練を行っています。

ご病気になられて1年以上経過した失語症者やそのご家族に参加いただいています。

失語症とは、大脳にある言語領域の病変によって、

聴く、話す、読む、書くなどの言語機能に障害が出ることをいいます。

言いたい言葉が出てこない、

相手の言っていることが理解できないなどの症状がみられます。

言語を操作する障害ですので、物の知識については保たれています。

言語聴覚士は、一人ひとりの障害像を評価して、

それぞれに適した訓練方法を探していきます。

今回は、ジェスチャーから絵カードを選択する課題を行いました。

まずは、谷准教授が絵カードの内容をジェスチャーで伝えていました。

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参加者にもジェスチャーをしていただきました。

こちらは何のジェスチャーでしょうか?

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皆さん、お分かりでしょうか? 「歯ブラシ」ですね。

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こちらはすぐに正答していました。

さて、次は何でしょうか?

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何かが降ってそうですね。

「あめ」かと思いきや、答えの絵カードがありませんでした。

実は実は、こちらは「花粉」をジェスチャーで伝えていました。

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参加者からも「難しいな」ということばが聞かれました。

花粉をジェスチャーで行うのは、難しいですよね。

私もやってみましたが、なかなか伝わりませんでした。

今度は参加者の方にやっていただきました。

こちらの方は思わぬトラブルが‥。「か‥さ」

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「あっ、言っちゃった」と。 ジェスチャーで伝えるはずが‥、

間違って答えを言ってしまう場面に

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皆、笑顔がみられました。

最後に、谷准教授と発話の訓練を行いました。

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失語症者のグループ訓練は、毎月第3金曜日に行っています。

参加者の方々には、3年生の失語症演習のときにご協力いただいております。

今後ともよろしくお願いいたします。

2016年9月15日 (木)

4年生の「専門職連携演習」の演習風景をお届けします。

9月12日(月)~9月15日(木)の4日間、

ST学科の4年生は専門職連携演習に取り組みました。

この演習では、臨床での他職種協働を模して、全学部の4年生を横割にした小グループで、

対人援助に関わる専門職の連携について検討し、最終日に全員でプレゼンテーションを行うものです。


初日には、ST学科からは、「言語聴覚士の業務と職種間連携について」といったテーマで、

熱のこもった話題提供をしてもらいました。

また、脳血管障害発症後の他職種協働事例について、STならではの視点を加えた、

素晴らしい内容プレゼンテーションを創り上げました。


この演習では、学部学科の垣根を乗り越え、共通の目標に向かって連携することの大切さを

学び、今後実際の臨床の場で働く4年生にとって、貴重な学修経験となりました。

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2016年9月14日 (水)

3年生の卒業研究

教員の谷哲夫です。
卒業研究は早くから準備を進めています。
谷研究室では失語症と吃音を研究テーマにする学生が多いことが特徴です。
今回は、吃音をテーマにした3年生の実験を紹介します。

緊張性の指標を脈拍値として、聴衆の有無により脈拍値に変動が生じるのか、
生じるとすれば吃音生起率に影響するのか、
さらに発話課題別に脈拍値、吃音生起率に変動があるのかを
検証するため先行研究を参考にして実験をしました。

実験場所は大学の言語聴覚学科施設内で、
浜松言友会の方たちに被験者としてご協力いただきました。


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まずは、脈拍測定装置を手首に装着します。
この日は実験初日ということもあり、脈拍測定装置が上手く作動しないなどの
トラブルにも見舞われましたが、なんとか実験開始することができました。

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実験は発話課題を被験者一人で実施していただく場面と、
聴衆を前に実施していただく場面を設定しました。
実験は40分程度で終了しました。

実験終了後には、一緒にお茶をしながら
ご協力いただいた方の吃音体験談などを聞かせていただきました。

実験初日は少しトラブルがありましたが、次回以降改善しながら続けていく予定です。