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2015年9月

2015年9月30日 (水)

Voice & Speechリハビリテーション入門


9月23日(水)に高校生を対象としたセミナーを開催しました。
本日は、午後に開催した“Voice & Speechリハビリテーション入門”について、紹介します。

まずはじめに、発話の仕組みについてレクチャーを行いました。
柴本教授より、なぜ聞きやすい声と聞きにくい声があるのか、なぜアナウンサーの声は聞きやすいのか、についてお話がありました。
発話は「発声」、「構音」、「共鳴」、「イントネーション」の要素から生成されています。
それぞれの要素に分解して、これらの疑問をお話していました。

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実技も行いました。

皆さんの声は鼻にぬけていませんか?
確認してみましょう。
鼻の下に鏡を置いて、「ぱ、ま、ぱ、ま、ぱ、ま」と交互に言ってください。

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「ま」のときに鼻から息がぬけていませんか?

「ま行」、「な行」は通鼻音といい、鼻腔で共鳴してつくられる音です。
皆さんぜひ鏡を取り、試してみてください。

通鼻音について実際に機器を用いて測定しました。

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実は、「ま行」、「な行」以外にも鼻にぬける音があります。
「がいこく」と「鳥が鳴いている」と話してください。
『が』は同じように発音していますか?
「がいこく」の『が』は鼻にぬけませんが、文中にある「鳥が鳴いている」の『が』は鼻にぬけていると思います。
アナウンサーはこれを使い分けています。
同じ『が』でも発音の仕方が変わるなんて、人間はとても不思議ですね。

最後に音響分析を用いて、良い声、悪い声を科学的に評価しました。

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この結果を患者さんにフィードバックして、訓練の参考にしています。


言語聴覚学科では、引き続き高校生を対象としたセミナーを開催予定です。
こちら(クリックしてください)に情報が掲載されますので、ご覧になってください。


2015年9月29日 (火)

産学連携事業


教員の柴本です。
これまでの研究成果を基に、岩手県のパタンアート研究所様と共同で構音評価訓練用アプリケーションを開発しました。スマートフォン(Androidのみ)で使用できるアプリです。
「スピトレ(評価編)」と「スピトレ(訓練編)」の2つがあります。

そもそも研究開発に至った経緯は、構音訓練をする方が十分な訓練を受けられているのか?といった疑問でした。①日本の言語聴覚士数、②医療保険制度の変革等から必要な方が必要な医療サービスが受けられていないとしたら、別の方法で補完をしたいと思った次第です。このアプリは言語聴覚学と工学との融合で完成いたしました。

少し紹介をします。「スピトレ(評価編)」です。発音の評価と発声時間がスマホでできるようになっています。発音の評価は、評価や訓練したい語を選んで、指示の通りにスマホに向かって話すと〇か×で示します。発音が合っていれば〇で、違っていれば×です。発声持続時間は、スマホに向かってなるべく長く発声をすると自動的に時間と声量を計測してくれます。そして、その結果をデータベースに残してくれます。後で自身の成長や改善の過程を見ることができます。

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「スピトレ(訓練編)」は、ボール型ロボット(Sphero2.0)の動作を単語の発音と関連づけ  音声認識が成功すれば、ロボットの運動にフィードバックされるものです。ことばでボールの動きを操るというものです。進行方向、回転速度、発光色を操作することができますので、楽しく訓練ができるように工夫されています。Sphero2.0 は,Sphero社 (旧orbotix社)が開発しており、市販されていますので容易に手に入れることができます。

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こういう活動を通じて、少しでも構音障害の方々の訓練が進み、社会貢献ができれば望外の喜びと感じています。これからも、自身の研究成果で人のお役にたてられるように研鑽をして参ります。

2015年9月24日 (木)

メディカルスタッフを目指すための脳科学入門


9月23日(水)に高校生を対象としたセミナーを開催しました。
午前は、“メディカルスタッフを目指すための脳科学入門”、午後は、“Voice & Speechリハビリテーション入門”の二部構成で行いました。
脳科学入門には14名、Voice & Speechリハビリテーション入門には7名の高校生が参加されました。
シルバーウィークにも関わらず、ご参加いただきありがとうございました。
人数をみると、脳に興味のある高校生が多そうですね。
脳科学は、言語聴覚学と非常に密接な分野です。
当言語聴覚学科では、脳について専門的に学んでいきます。

それでは、午前の部について紹介します。
まずはじめに、人間の脳の構造、働きについて、実技を交えてお話しました。
『皆さん、右手を頭の上にあげてください。なぜ皆さんはこの動作ができるのでしょうか?』

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「右手の自由がきくから」とお思いではないでしょうか?

実は違います。
脳から右手に神経の指令が伝わり、動けています。
つまり、脳が動作を司っています。
このように日常生活の活動は、脳によって営われています。
皆さんが今読んでいるこの文章も、脳によって営われています。
脳はとても興味深いです。

講義の他に、本物の脳標本にも触れていただきました。
「脳ってこんなに小さいんだ」、「ここが障害されるとことばが出なくなるんだ」など多くの声が聞かれました。

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この他、脳機能検査、脳機能向上のトレーニング法について体験していただきました。


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記憶検査をトレーニング法の前後で行いました。

覚えられる単語の数が増えており、皆さん記憶力が改善していました。
ぜひ受験勉強に活かして欲しいと思います。

最後に皆さんで記念撮影です。

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ぜひ当言語聴覚学科で、一緒に勉強しましょう。

皆様をお待ちしております。
次回は、午後に行われた“Voice & Speechリハビリテーション入門”について紹介します。

2015年9月17日 (木)

夏のオープンキャンパス特集⑤


今回は、教員の先生について紹介します。

オープンキャンパスの目玉1つには、教員の先生の研究成果から出来上がった製品紹介があります。
今回は谷准教授が共同開発された製品を展示しました。

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群馬県のシマダ製作所様とのコラボレーションで生まれた、失語症患者さんのための訓練機器です。

『患者さんを何としても治したい』という思いで、作られたそうです。
とても患者さん思いの先生です。

2015年9月11日 (金)

夏のオープンキャンパス特集④

今回は、臨床活動を紹介します。

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これは、「電気式人工喉頭」を使って話しているところです。

電気式人工喉頭は「でんきしきじんこうこうとう」と読みます。

病気等で声帯を失なうことになったら…。
声が出ません。口パクでもわからなくはありませんが、音声がないと確信が持てません。
この時点で社会で活動するときに必要なコミュニケーション能力を失うことになります。
こういう方々に、「電気」の振動を利用して「人工」的な「喉頭(声帯)」を得て、コミュニケーションを再獲得します。
この練習も言語聴覚士の専門です。
病気になることは悲しいことですが、それでもしっかりと社会で活躍できるように支えていく職業がリハビリテーション関連職です。


2015年9月 9日 (水)

夏のオープンキャンパス特集③

学生さんの頑張りを紹介します。

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まず、3年生です。ご父兄の前でしっかりプレゼンテーションをして、言語聴覚学の必要性を説明です。

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2年生は知識を蓄えている学年です。専門的な見方を高校生に説明です。

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1年生は、数か月前に高校を卒業したばかりで、一番高校生の気持ちがよくわかります。
生活に関する質問、学業に関する質問、本学を受験するに至る質問に丁寧に答えることで、高校生も安心でした。

こうして、各学年自身の出来るレベルの活動をしっかり行う。
また、学年を超えて助け合う。
将来社会に出てからも随分役立つことでしょう。
オープンキャンパスは、学生さんの勉強にもなる重要なイベントと捉えています。

2015年9月 8日 (火)

夏のオープンキャンパス特集②


言語聴覚学科の演習室の様子をご紹介しましょう。

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普段は自身の専門技能の向上を目指して日々勉強している部屋に高校生をお招きして、よりわかりやすく説明を工夫しました(2年生)。

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私は、聖隷クリストファー大学で学んでいることに誇りを持っています。当日は、日々勉強している内容を胸を張ってお伝えしました(2年生)。

ところで…。
言語聴覚学科の演習室は、じゅうたん張りです。

その理由は、言語聴覚士は聴覚の検査で小さい音を聞いて頂いたり、話す内容を高性能な録音機で録音して分析します。その時に、歩く音などの環境音をなるべく抑えるためです。

以上、ちょっとしたあるあるでした。

2015年9月 4日 (金)

夏のオープンキャンパス特集①


各大学とも夏休みと言えば、「オープンキャンパス」ですね。
大学は、研究機関でもあり教育機関でもあります。最終的な目標は社会貢献です。
今年も多くの未来の言語聴覚士が聖隷クリストファー大学来てくださいました。

そこでのイベントを紹介しましょう・・・。

まずは、学問の世界から。

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この迷路を普通にやったら簡単ですね。

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迷路を鏡に映して鏡を見ながらやったら…。

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この通りです…。高校生がやったものとは思えませんね。

なぜこうなるのでしょう?
そのメカニズムは、脳の処理機構がより複雑になるので、混乱したり自身の状況把握が難しくなるからです。脳の活動そのものが迷路の赤線に現れています。

言語聴覚学は脳科学と密接な関係です。
脳科学をより深く学びたい方は、下記をご参照ください。

メディカルスタッフを目指す人のための脳科学入門