2024年6月28日 (金)

あるべき姿

 例年になく梅雨入りが遅く、気象庁は21日、静岡県を含む東海地方の梅雨入りを発表しました。これは、平年より15日、昨年より23日遅く、東海地方の6月下旬の梅雨入りは2017年以来とのことです。梅雨入りが遅い分、豪雨や猛暑への注意が呼びかけられてもいます。梅雨の晴れ間となった6月24日・25日は2日連続の猛暑日で、すでに厳しい暑さに見舞われています。

 

 大学でも災害や猛暑に備え、注意喚起がなされています。体調と生活リズムを整え、また余裕を持って通学するなどして事故に気をつけ、日々の学習が順調に進むことを願っているところです。

 

 さて、本学では、大学教育の内容や方法の改善を図るため、年2回の全学FD (Faculty Development) 研修会を開催しています。そのうち1回は、建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」を継承し、その精神を活かした教育を推進する研修としています。

 

 今回は6月19日に開催し、本学の前身である聖隷学園浜松衛生短期大学の卒業生で、現在は訪問看護師として経験を重ねられている吉岡麻理氏にご登壇いただきました。聖隷の先人や教員たちの話を真剣に聞き、また自らの話を真剣に聞いてもらうことをとおして、目の前の一人ひとりを大切にし、その人に真摯に向き合うことに隣人愛の精神を見出し、それが聖隷の教育の本質だろうと語られました。

 

 卒業生が卒業後もなお、その精神を反芻しながら日々の仕事に従事されている。このことが私たちの目指すあるべき姿でだと感じました。

 

 大学は、大きく発展してきました。しかし、その基盤である建学の精神を見失ってはなりません。建学の精神をいつも心に留めおき、一人ひとりの学生に真剣に向き合う教育を継承していきたいと思います。このような私たち教職員一人ひとりの姿勢が、学生の建学の精神を醸成することになるでしょう。

2024年5月21日 (火)

同窓会と大学の発展

 先日(5月11日)、同窓会総会並びに講演会が開催され、私も同窓会顧問として出席いたしました。本学の運営や教育・研究活動が、同窓会の協力と支援によって、充実・発展していることを改めて感じました。感謝しかありません。

 

 また今年度は新たに、同窓会の支援事業として、「卒業生向けの大学院科目等履修支援金」の制度が創設されました。この制度は、今年度の大学事業計画の柱の一つである大学院の発展と高度人材養成を目指すこととも関連があります。今年度、看護学研究科(前期課程)では、 “プライマリケア看護学領域”を開設し、診療看護師(ナース・プラクティショナー)の養成を始めました。またリハビリテーション科学研究科(前期課程)では2025年度に、“高度実践リハビリテーションコース”を開設する計画です。加えて、社会福祉学研究科でも2026年度に、“公認心理師課程”を開設する準備が着実に進んでいます。このように、大学院の発展と高度人材養成は、学部とともに、同窓会による支援が原動力になっています。

 

 人生100年時代。大学卒業後も、マルチ・ステージで活躍するキャリアを身に着けるには、学びを継続し、学び直し(リスキリング)が必要です。卒業生の皆さんにも、是非とも同窓会の支援事業等を活用していただき、大学院での学びや進学を検討していただければ幸いです。

 

 これからも、同窓会の皆様とともに発展する大学でありたいと思っています。

 同窓会のさらなる発展と、卒業生・修了生皆様の益々のご活躍・ご健勝を心から祈念いたします。

2024年4月 8日 (月)

聖隷の歴史:三方原の地

 今年の桜の開花は、開花直前での低温の影響が響いて、平年より遅い開花となりましたが、入学式(4月2日)に合わせるように満開の時期を迎えました。キャンパスも新入生の皆さんを迎え、明るく活気づいています。

 今年の入学式での学長式辞のテーマは、本学が所在する三方原の地についてでした。三方原は、浜松市の中心部(浜松駅)からは遠く、不便を感じるかもしれません。しかし、便利さは物事の本質を見失う危険があるようにも感じます。不便さの中に、本当に人が求めている『大事のモノ』見えてくるのではないでしょうか。三方原の地での学ぶことの意味を、新入生の皆さんに知ってほしいと思います。

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2024年度入学式 学長のことば

 

 新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。皆さんの入学を心より歓迎し、祝福いたします。皆さんが、本学の建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」を人間形成の基盤として、保健医療福祉及び教育・保育の専門職職業人に成長できるよう応援いたします。

 ご家族の皆様に、お慶び申し上げます。新入生一人ひとりが、それぞれの目標を達成できるよう、教職員一同務めてまいります。ご協力のほどお願いいたします。

 また本日ご多用のなか、ご列席いただきました、ご来賓の皆様に、心よりお礼を申し上げます。今後とも、私たちの未来を担う学生に、ご支援ご指導を賜りますようお願いいたします。

 

 さて本日の入学式にあたって、新入生の皆さんに本学の歴史と建学の精神、そしてその学びについてお話いたします。

 聖隷の事業は、1930年、創立者である長谷川保ら若きクリスチャンが、結核病患者の保護を始めたことから始まります。当時、結核の死亡率は人口10万に対し200人を超え、死の病と恐れられていました。これは新型コロナウイルスのパンデミックのときの約3~4倍にあたると言われます。ですから、その世話をすることは、社会から迫害を受けたり、自らも感染し命を失うリスクを負うということです。なぜ、創設者たちはそのようなことができたのでしょう。それは、クリスチャンとして、困った人、助けを必要としている人に尽くすことが、神様に仕え、隣人愛を実践することであると信じたからです。

 

 事業は当初、浜松市中心部の入野村(現在の蜆塚一丁目辺り)に粗末なバラックづくりの療養施設「ベテルホーム(神様の家という意味)」を建て、始められました。しかしそこで、地域住民からの度重なる厳しい迫害を受け、立ち退きを迫られます。そして止む無くそこを追われるようにして、当時、林野であった現在の三方原に移り、「聖隷保養農園」を開設します。

 その後、聖隷の結核病患者の救済事業をきいて、全国から患者が次々と集まって来ます。しかし、三方原でも再び迫害運動が激化し、加えて大恐慌の影響もあって経営面でもひっ迫し、困窮状態に陥ります。当時の記録には、このようにあります。「奉仕者や看護師たちは食事を用意することも難しくなって、どうにかしてまず患者に食事をさせ、その残飯を雑炊にして食べるのが常であった。」

 このように、聖隷の創設者たちは過酷な状況のなかで、自分たちの命、生活、全てを犠牲にして、病気や障害を抱えた人々の命を守り、生活を支え、愛を尽くされました。このような創設者たちの生き方が、私たちの建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」です。この建学の精神を兼ね備えた保健医療福祉及び教育・保育の専門職業人を育成することが、私たちの使命であり、教育目標です。

 

 現在、私たちの先人が開拓した三方原には、聖隷三方原病院をはじめ、高齢者や障害児・者の施設、聖隷学園のこども園・小・中高等学校など20を超える施設があります。そこでは、隣人愛の精神を具現化した質の高い医療、ケア、教育が提供されています。そして、この地から派生した同じ聖隷の精神をもつ聖隷福祉事業団をはじめとした病院・施設が全国に発展しています。また、この地で育った15,000名を超える卒業生・修了生が、国内外で、それぞれの仕事に従事しています。

 

 今日から皆さんも聖隷の一員です。これから皆さんは、三方原の地で、精神を磨き、それぞれの専門的知識と技術を習得します。私は、対人援助職において、知識や技術もさることながら、それ以上に、その人の人柄や人格が大切だと考えています。それは、対人援助職の仕事は、その人の人格を基盤とした他者との関係性の上に、知識や技術が有効かつ効果的に発揮されるからです。

 

 青年期の皆さんは、人格形成の大切な感受期にいます。そのような皆さんにとって、どのような環境に自分自身の身を置くかということが、極めて大切です。なぜなら、人間は環境から働きかけられ、また環境に働きかけることで、自己を形成していくからです。あなた自分自身の身を置く環境が、あなたの人格の現れであるとも言えます。

 私たち聖隷クリストファー大学は、聖隷発祥の三方原の地で、また聖隷の精神の根づいた病院・施設で、建学の精神を身をもって体感し、知と技を磨く、生きた学びを実践することが、私たちの最も大切な普遍的・教育的価値であると考えています。

 

 新入生の皆さんが、創設者から今日まで受け継がれる「生命の尊厳と隣人愛」の精神を継承し、人々の命と幸福に尽くす保健医療福祉及び教育・保育の専門職業人に成長されることを願い、学長のことばといたします。

2024年4月2日

聖隷クリストファー大学

学長 大城昌平

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2024年3月14日 (木)

卒業生・修了生の皆さんへ

 今年度の学部卒業生は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年4月の入学生です。入学時から在学中を通して、コロナウイルスに翻弄され、厳しい感染対策を強いられもしました。そのような中になって、看護師、社会福祉・介護福祉士、リハビリテーション専門者、保育士・幼稚園・小学校・養護教諭になるという初心を貫いて、卒業を迎えられました。皆さんに、心より敬意と感謝の気持ちをお伝えます。

 2023年度卒業・修了式 学長のことば

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 今こうして皆さんの前に立つと、4年前の入学式のことを思い出します。

 当時、未知のウイルスと言われた、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し、私たちは深刻な状況に直面していました。日本でも、緊急事態宣言が発出され、感染予防の徹底と、外出の自粛が要請されました。

 本学も急遽、遠隔授業を行うことを決め、入学式の当日、この場で皆さんにお伝えました。期待に胸を膨らませて、入学式に臨んだ皆さんにとって、大変大きな戸惑いと、不安であったと思います。

 その後も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、黙食の励行など、対人援助職を目指す皆さんには、より厳格な感染対策をお願いいたしました。同級生や教員との親密な関係性を築くことで、アイデンティティを形成していく青年期の皆さんには、それらの対策は苦痛であり、孤独でもあったと思います。感染の拡大が生じるたびに、期待や希望を叶えられない、焦燥や失望を覚えたことでしょう。また病院や施設での実習でも、感染の不安に対峙しつつ、時に中断を余儀なくされる中で、奮闘されてもきました。 

 そして本日ここに、晴れやかに自信に満ちた皆さんを前にして、喜びと感謝の念に耐えません。皆さん、今日まで目標を見失しなうことなく、自らを鼓舞し、多くの困難を乗り越えてこられました。本当におめでとうございます。

 ご家族の皆様に、お慶び申し上げます。ご家族の皆様も、今日まで多くの困難を経験されたと思います。そのような中にあって、卒業生・修了生が、今日の日を迎えることができましたのも、ご家族の支えがあったからです。誠にありがとうございました。

 また、ご来賓の皆様、非常勤講師の先生方、実習等でお世話になった皆様に、お礼申し上げます。現場のひっ迫した状況の中で、献身的に学生教育に当たってくださいました。卒業生・修了生は、皆様への感謝の気持ちを忘れることなく、これから現場で活躍していくことになります。引き続きのご指導をお願いいたします。

 さて、今私たちは「予測不能の時代」にいます。新型コロナウイルスなどの新興感染症の流行、地震や豪雨などの自然災害の発生、紛争や戦争の勃発、など、本当に思いもよらないことが起こるものだと実感いたします。そのような出来事が起こる度に、私たち人間がいかに弱い存在であるかを、思い知らされます。また同時に、そこから立ち上がる人間の強さ、偉大さ、尊厳を知ることにもなります。

 最近、「レジリエンスresilience」という概念や言葉を見聞きします。レジリエンスとは、「柔軟性、回復力、適応力」という意味です。これは変化する環境や課題に対し、自らを柔軟に適応・変化させ、より良い状態に飛躍する力、すなわち弱さを強さに変える力といえます。人類は誕生以来、幾多の致命的な困難に対処し、レジリエンスを身につけてきました。私たち自身も、経験したことです。

 皆さんはこれから、保健医療福祉・教育の専門職業人の道を歩まれます。それは人間の弱さを支え、レジリエンスを引き出し、真の人間の強さを導く仕事にほかなりません。素晴らしい仕事です。

 皆さん思い出してください。新型コロナウイルスの感染が急拡大した時、連日、感染者数や死亡者数が報道され、保健医療福祉の混乱と崩壊の様子が映し出されていたではありませんか。またその一方で、人々を懸命に救い支える、私たちの先輩方の姿に感銘を覚え、勇気と希望を、与えられもしました。私たちは皆さんのように、保健医療福祉・教育を担う人がいなければ、人の命や健康、生活はもちろんのこと、この社会も根底から崩れてしまうことを、再認識いたしました。このように、皆さんの仕事は、この社会を安定的に維持するために、最も大切な社会的共通資本なのです。

 皆さん、皆さんに与えられた仕事を愛し、自信と誇りを持って、その道を歩んで行ってください。そこには必ず、生きる喜びと、真の幸福があると思います。

 さて大学院修了の皆さん、皆さんもコロナ禍での、厳しい現場の仕事と、研究との両立で、ご苦労をされたと思います。それを乗り越えて、ここに修了を迎えられました。心より敬意を表します。

 これから皆さんには、保健医療福祉分野のリーダーとしての役割が期待されます。先ほど、今私たちは「予測不能の時代」にいる、と申し上げましたが、未来を恐れる必要はないと思います。なぜなら、未来は常に現在によってつくられるからです。皆さんのリーダーとしてのビジョンと行動が、より良い未来を築く、レジリエンスの原動力になると信じるからです。皆さんが、それぞれの学問分野、組織、社会に変革をもたらすリーダーとして、活躍されますことを願っています。

  終わりとなりますが、卒業生・修了生の皆さんが、これからも本学の建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」によって、人々を支え、知と技を磨き、保健医療福祉・教育の専門職業人として成長されますことを祈念いたします。

2024年3月7日

聖隷クリストファー大学

学長 大城昌平

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2024年1月31日 (水)

「能登半島地震~復興への願いと祈り~」

 家族団らんで迎えた穏やかな正月は、午後4時過ぎに発生した能登半島地震で一変し、甚大な被害と大きな悲しみをもたらしました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に謹んでお悔やみを申し上げます。また、被災され、不安な日々を過ごされている方々へ心よりお見舞い申し上げます。

 発生から4週間が経ち、住民の皆さん、行政、医療従事者、ボランティアなど多くの方々が、被災された人々の日常の生活を取り戻すため、懸命に活動を続けておられます。

 大学でも、学生主催による募金活動が始まりました。少しでも何かの助けになればという、復興への願いと祈りによるものです。彼らが卒業し、それぞれ保健医療福祉及び教育・保育の専門職者となって、災害後の救急医療や、避難所や高齢者施設などでの健康や生活、教育支援に直接携わるのだろうと思い、活動を見守っています。今はそのための、大切な準備期間でもあります。

  「あなたがたもこのように働いて弱い者を助けるように、また、主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました。」(使徒言行録20章34~35節)。難しいことですが、心にとめておきたいと思います。

2023年12月27日 (水)

今年の漢字 “動”

“過ぎ去ったものに-ありがとう、これから出会うものに-よし!”

世界平和に貢献した第2代国際連合事務総長ダグ・ハマーショルドの言葉です。今年出会ったすべての物事に感謝し、新しい年を迎えたいと思います。

 1年の終わりを迎え、今年の手帳を開いています。毎年発表される今年の漢字に倣って、私の漢字を考えると、 “動”の文字が思い浮かびました。今年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類相当になったこともあって、堰を切ったように対面での活動が活発になりました。1月福岡(帰省)、2月京都、フィリピン・イロコス州、3月東京、4月福岡、5月大阪、富山、6月福岡、大阪、7月アイルランド・ダブリン、高知、9月東京、11月は東京、高知、12月東京、と月1回ぐらいのペースで出張となっています。これでもオンラインでの会議やセミナーが増えて、随分出張機会は少なくなりましたが、ここ数年からすると良く“動”いた一年であったと思います。中には4年ぶりの再会となったものも多く、改めて対面の良さを実感しました。

 一方で、急激な“動”への転換の中で、活動的になることが、何らかの仕事を成し遂げたような、自分の仕事や価値が高められたような錯覚に陥っていないかという反省もあります。1年の終わりの静かな時を迎え、独りになって、内なる声を聴くことの大切さも感じます。

 これから出会うであろういろいろな物事に前向きに取り組むことと、独り静まる心をもつこと、これらの間のバランスを保つことを大切にしたいと思います。

 来る年の皆様のご健康とご多幸を祈念いたします。

2023年11月30日 (木)

時の贈り物

秋セメスターは、贈り物の時です。

11月4日には、第22回聖灯祭“Revival”が開催されました。今回の聖灯祭は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されたこともあって、制限を設けない通常開催でした。共に楽しみ、思い出深い、時の贈り物でした。

同日、卒業生・修了生、退職教職員の方々が帰学されるホームカミングデーも開催されました。思い出を分かちあい、旧交をあたためた、時の贈り物でした。

11月9日(木)は、感謝祭の行事がありました。毎年、大学附属クリストファーこども園の子どもたちが、りんご、みかん、かきなどの秋の恵みを運んでくれます。添えられたメッセージカードには、子どもたちが描いたぶどうとみかんの挿絵とともに、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。」(テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章16‐18節)という聖書の言葉を届けてくれました。喜びと感謝の、時の贈り物でした。

そして、12月3日(日)からは、アドベント(待降節)です。11月29日(水)には1号館ロビーにクリスマスツリー、アドベント・クランツが飾り付けられ、イエスの誕生をお祝いする準備が整えられました。そして、クリスマスツリーの点火祭、クリスマス礼拝、近隣施設へキャロリングが届けられる、時の贈り物です。

与えられる喜びを大切に、隣人に愛を贈ることができますように!

2023年10月30日 (月)

平和を願う祈り

猛暑の夏が過ぎ、10月下旬になってようやく秋らしくになってきました。とは言え、この時期になっても、日中は夏日が続き、地球温暖化の深刻化を知ることができます。

この頃は、餌を求めて市街地に出没するクマ被害が、連日報道されています。

世界の情勢も深刻化しています。ウクライナとロシアの戦争は膠着状態に入り、イスラエルとパレスチナの紛争は日増しに激化しています。ガザ地区の悲惨な戦場下にある子たちたちの悲痛な叫びに心を痛めます。

日本は平和な日常ですが、大国間競争に巻き込まれる懸念が広がってもいますし、歴史的円安と物価高騰が続き、生活に困窮する家庭や人たちが増えてもいます。

大学では、このような社会情勢のなかにあっても、学生皆さんがそれぞれの目標に向かって学修や実習に取り組んで、明るく活気ある日常です。彼らが、生命の尊厳と隣人愛の精神をもった保健医療福祉及び教育・保育の専門職者として、平和と、人々の命と健康、生活と福祉に貢献されるのだと、遠くに思いに馳せながら、世界の平和を祈らざるを得ません。私たち一人ひとりは無力な存在です。しかし、平和を願う祈りを捧げることができます。

 

「平和を願う祈り」

<アッシジの聖フランチェスコ(聖フランシスコ)1181~1226年>

主よ、私をあなたの平和の道具にしてください。

憎しみのあるところに愛を、争いのあるところに許しを、

分裂のあるところに一致を、疑いのあるところに信仰を、

誤りのあるところに真理を、絶望のあるところに希望を、

闇に光を、悲しみのあるところに喜びを、

もたらすものとしてください。

 

主よ、慰められるよりも慰めることを、

理解されるよりも理解することを、

愛されるよりも愛することを、

私が求めますように。

 

なぜなら私が受けることは与えることにおいてであり、

許されるのは許すことにおいてであり、

我々が永遠の命において生まれるのは死においてであるからである。

 

2023年7月31日 (月)

春セメスターの終わりに

梅雨明けから、体温を超えるような酷暑が続いています。大学では学生の皆さんが、この暑さに負けず、春セメスターの修了を控え、学生ホールや演習室でまとめの学修に精を出しています。その姿に、成長と頼もしさを覚えます。

春セメスターの礼拝も最終を迎えました。宗教主任の永井英司先生が「身を起こす青年サウロ」という題で、使徒言行録9章の「サウロ(パウロ)の回心」のお話しをされました。

ユダヤ教徒であったサウロは、誤った正義感や自意識から、キリスト教徒を捕まえ迫害を加え殺害さえしていました。ある日突然、まばゆい光が天からサウロを照らし、その輝きでサウロは目が見えなくなってしまいます。健康を失い挫折したサウロのもとに、イエスの遣いのアナニアが訪れ、福音を告げます。するとサウロの目から、うろこのようなものが落ち、目が見えるようになります。そして回心し、180度生き方を転換して宣教の旅に出るというものです。

“うろこのようなもの”は、英語で“something like scales fell from Saul’s eyes”というそうです。このScaleには、規模(スケール)・定規(物差し)・計り・尺度・基準・地位、そして鱗(うろこ)など多くの意味があります。サウロの目から落ちたうろこのようなものとは、それまで身についた物事のみかたや考え方、価値観、プライド、おごりではなかったでしょうか。そのようなうろこが、本来のサウロの力(あるべき姿)を覆っていたのでしょう。

この春セメスター、学生の皆さんはどのように成長されたでしょう。目からうろこのようなものが落ちる学びや経験をされたかもしれません。それは困難を伴うものではなかったでしょうか。しかしそのことが、新しい自分との出会い、自分の本来あるべき姿や才能(Talent)の発見、自分に与えられた使命の気づきにつながるのではないかと思います。

苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む(ローマの信徒への手紙5章4節)

2023年6月30日 (金)

Tender Loving Care

梅雨の最中、空は暗く、しとしと、じめじめ、気分が晴れない日がつづきます。晴耕雨読を楽しみながら、この時期を乗り越えていきたいと思います。

さて大学では、3年ぶりに国際交流プログラムが再開され、サミュエルメリット大学(Samuel Merritt University:SMU、アメリカ・カリフォルニア州)から看護学部生と先生方をお迎えしました。学内も次第に、グローバルキャンパスへと回復してきています。

交流プログラムの聖隷三方原病院や関連施設での研修を終えたミーテイングで、SMUの先生方の感想をお聞きました。口々に、それぞれの病院・施設や訪問看護が、同じように、対象者一人ひとりに思いやりと愛情を込めた看護やケアがなされていることに感銘を受けたと話しをされました。聖隷の基盤にある隣人愛の精神が、看護やケアの実践に活かされていることを肌で感じてもらい、大変嬉しく思いました。

その時に、私がお話したことは次のようなことでした。

日本語で看護の「看」は、「手」と「目」と書きます。あたたかな手(タッチ)と目(まなざし)で対象者に接し、心を配ることが看護の基本です。日本語には「慈しみ」という美しい言葉があります。これは、英語では、「Compassion」という他者への思いやりや配慮を表す単語に近い日本語です。私たちは、慈しみ(Compassion)という看護のケアの本質を大切にしたいと述べました。それに対し、SMUの先生が「Tender Loving Careですね」と言われ、正にそうだと感心しました。

Tender Loving Careとは、医療や介護の場面で使用される“思いやりあるケア”を示す言葉です。このTender Loving Careは、慈しみ、Compassionといった感性によって実るものです。聖隷の病院や施設・訪問看護では、隣人愛の精神を基にしたTender Loving Careが実践されているのです。