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2021年8月31日 (火)

本学の卒業生から、Hさんへの追悼文

静岡県の精神保健福祉分野を中心とし、多くのソーシャルワーカーを育成してこられたHさんの突然の訃報から、半年が過ぎました。このたび、偶然の出会いから、卒業生のRさんが、勤務する法人によって発行されている機関紙に、Hさんへの追悼文を寄せていることを知りました。

とても心に沁みる良い文章なので、発行元のご承諾を得て、ここにご紹介させていただくことにしました。

 

長年、本学の精神保健福祉士教育を支えて下さっていたHさんの逝去を悼み、
先日、学生のときに実習でお世話になった実習指導者Hさんが亡くなられました。突然の訃報を聞き、当時、実習を受けていたときのこと、精神保健福祉士を目指し、この道で働いていきたいと決意したときのことなどを思い返していました。以前にも、こちらで書かせていただいたことがありますが、Hさんからの「なぜ、今、ここに」という言葉を一番に思い出します。目の前にいる方が、「なぜ、今のタイミングで、ここに(わたしに)」相談に来られたのか?ここまで来るのに、どれほどの悩みや苦しみ、葛藤、迷いがあったか?
15年ぶりに実習ノートを読み返してみました。そこには自分の記録だけでなく、約1カ月の実習期間中、毎日Hさんからのコメントがありました。改めてすべてのページを読み返し、いただいた言葉に込められた思いに、胸がきゅっと詰まり、自然と涙が出てきました。
『彼らの人権を認めること。何が出来て、何が出来ない、というふうに振り分けるのではなく、その人そのものを認めて受け入れることが関わりの出発となるのです。(中略)大切なことは、関わろうとする自分の動機を自覚することです。私たちはソーシャルワーカーとして関わろうとしている訳です』『あせらずに、あきらめずに、自分のペースで、進んでください。福祉は「手作り」が大切です』この言葉は、日々実感しており、忘れてはならないと思っています。
さいごに、目の前にいる方、またその先にいる方の、言葉では表されない心の内を感じとり、他人事ではなく、“自分ごと”として関わることで、少しでも痛みや辛さを軽くすることができればと願います。

 

Hさんには、本学の教育・研究に多くのご協力いただいてまいりました。本当にありがとうございました。