10月21日(土)に社会福祉学科主催講演会「これからの社会で期待される5つのSWとは~スクール・ソーシャルワーカーという仕事~」を開催しました
なぜ、スクール・ソーシャルワーカーとして働くことになったのか。
本学の非常勤講師であり、浜松市でスクール・ソーシャルワーカーとして開拓的な役割を担ってこられている平川悦子さんによるお話は、実践者としての原点にかかわる語りからスタートしました。
特別支援学校の非常勤支援員として働くなかで、教室に座っていられない子ども、かばんからゴキブリが出てくる子どもなど、さまざまな困難を抱えている子どもたちと出会ったことが、平川さん自身に大きな影響を与えたそうです。
こうした子どもたちの問題のあらわれは、子ども自身の問題としてだけ捉えるのではなく、問題の本質を家庭や地域といった幅広い視野で捉える必要があります。例えば、不登校という事象のあらわれの背後には、家族員の病気、家庭の経済的問題など、本人以外の家族や社会自体が抱えている問題が、複雑に絡み合っていることが多いものです。 本人だけでなく、本人をとりまく環境にも目を向けて、両者に働きかけることを重視するのが、スクール・ソーシャルワーカーの重要な役割です。しかし、実際の支援は、ソーシャルワーカーが一方的に行うものではありません。平川さんがおっしゃるとおり、「子ども」を主語にしながら、養護教諭やスクールカウンセラーを含めた学校の先生方と共に、子どもが抱えている問題を考え、支援すること、すなわち学校が「チーム」として機能していくことが必要になります。
以上のような平川さんによるお話を伺ったり、最近の現場には「気位の高い」ソーシャルワーカーが目につくと言う、参加者の方からのご意見を頂戴したりするなかで、本学が今後すべきことについて考えてみました。
専門職中心ではなく、利用者を中心に据えた「軸のぶれない」「連携力のある」専門職者を養成していくこと。これを大事にしていきたいと思いました。
大学の教育は、社会福祉現場をはじめてとしたさまざまな方のお力を借りて成り立っています。どうか、今後とも本学の教育に対して、忌憚のないご意見を頂戴いただけますよう、お願い申し上げます。
社会福祉学科 福田 俊子