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2023年5月31日 (水)

「プロフェッショナル」について

過日、「全国理学療法学教育学会」という学会で、「プロフェッショナリズムをめぐって」というシンポジウムが開催されました。私も登壇し、私の考える“プロフェッショナル”についてお話しました。

professionalの語源をたどると、それは宗教的(信仰的)な意味合いの強い言葉でもあるようです。宗教弾劾の時代、公に信仰を告白することは命がけでしたが、それでも信仰を告白せずにいられなかった。それは、信仰(神との契約)のもとにそうせざるを得ない強い使命感や責任感のような自らの内から湧いてくる衝動(精神の内的促し)があったからではないかと思います。プロフェッショナルには、そのように自らをプロフェッショナルたらしめる“精神の内的促し”が根底にあるように思います。その善き“精神の内的促し”を自ら育てていくことが、プロフェッションの道のり(プロフェッショナル・アイデンティティの形成)です。本学では、その善き“精神の内的促し”の源泉に、建学の精神「生命の尊厳と隣人愛」が位置付けられます。

保健医療福祉のプロフェッショナルの仕事は、「癒しの技」を大切にするアートと、専門的かつ科学的な最新の知識と技術のサイエンスが、相互補完的に展開されます。前者は自分自身の精神を掘り下げていくベクトル、後者は外に向かって開いていくベクトルです。本学の教育は、建学の精神を土台として、学生一人ひとりが人間性を磨き高め、フィロソフィーを醸成していく前者を大切にしたいと考えています。建学の精神に支えられた“精神の内的促し”が、学生一人ひとりのプロフェッショナルとしての成長を支え導くことになると信じています。

 

 “精神の内的促し”という言葉は、森有正(日本の哲学者、フランス文学者)「生きることと考えること (講談社現代新書)、1970」からの引用であることを付記します。