卒業生・修了生の旅立ち:希望
この3月の喜びは何と言っても、卒業生・修了生の旅立ちでしょう。
それは未来への希望です。
この間、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まり、幼い子どもたちをはじめ多くの人々の命が奪われ、苦しみや悲しみ、絶望のなかにいます。
世界は今、死と恐怖、悲しみと憎しみ、怒りと無力感に満ちているように感じます。
そのようななかにあっても、未来への希望を信じたいと思います。
それは本学卒業・修了生の皆さんが、国や人種、思想や宗教を越えて、建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」の精神を実践し、保健医療福祉の未来と人々の幸福と世界の平和に貢献されると信じるからです。
2021年度卒業・修了式 学長の言葉
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新型コロナウイルスの感染拡大から、3度目の春を迎えます。
この間、皆さんが目標を見失わず、本日ここに卒業、並びに修了を迎えられ、その努力をたたえるとともに、心よりお祝い申し上げます。
卒業生・修了生の皆さん、誠におめでとうございます。
また今日まで、学生皆さんを支え、大学運営にもご協力いただきました、ご家族の皆様に深く感謝の意を表し、お慶び申し上げます。
誠におめでとうございます。
さて、卒業生の皆さん、私たちは今もなお、新型コロナウイルス感染拡大の渦中にいます。
今この時もなお、私たちの先輩方が人々の命と健康、生活と福祉を守るため、懸命にその役割を果たされています。
皆さんもこれから、その現場に出ていくことになります。
皆さん一人ひとりに与えられた務めが、果たされますよう祈ります。
私たち聖隷の歴史を振り返ると、そのはじまりもまた、厳しく困難な船出でありました。
長谷川保ら私たちの先人が、聖隷の事業を興した1930年当時、日本は世界恐慌による深刻な不況下で、不治の病と言われた結核が蔓延していました。
そのようななか、先人は、感染の恐怖から社会から疎外された結核病患者と共に生きる誓いを立てます。
その運営は、度重なる迫害と困窮によって困難を極めます。
しかし先人は、自らの全てを尽くし、隣人の命と生活を守り支えられました。
この先人の生き方が、本学の建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」の精神です。
皆さんに受け継がれた、この建学の精神を胸に、保健医療福祉の道を歩まれることを願います。
大学院修了の皆さん、皆さんは保健医療福祉の高度専門職業人、教育者・研究者としての学識と技能を修得し、各専門分野の発展にも貢献されました。
心より敬意を表します。
これから皆さんには、保健医療福祉分野のリーダーとしての役割が期待されます。
今回の新型コロナウイルス感染拡大による教訓の一つは、いかに保健医療福祉の体制が脆弱であったかということです。
私たちは、もう二度とこのような事態が生じないようにしなければなりません。
皆さんの英知とリーダーシップを期待いたします。
終わりに、卒業生・修了生の皆さん、世界は今、先行き不透明な混迷の時代に向かっています。
しかし、どのような時代にあっても、平和と人間の命と健康、生活と福祉が普遍的な価値であることに変わりはありません。
皆さんが、クリストファーの如く、隣人愛と知の技で、人々の命の尊厳と幸福に尽くされますことを願い、学長の言葉といたします。
2022年3月10日
聖隷クリストファー大学
学長 大城昌平
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