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2021年10月25日 (月)

「メメント・モリ(memento mori)」

9月末から秋セメスターが始まり1ヶ月が経ちました。

幸い、授業の開始とともに、新型コロナウイルスの感染状況は収束傾向にあります。

このままの状況が続くことを願いつつ、油断しないようにもしなければならないと思っています。

 

コロナの感染拡大が始まって2年が経過しようとしています。

2年前、これほどまでに長期化し、各方面に影響が及ぶとは考えず楽観的であったと思います。

今日もまた、何人が感染し、何人が重症化し、何人が死亡したと報道されています。

集団としての数値であまり実感が湧かないのですが、当事者一人ひとり、あるいはその身内の方々一人ひとりを思うと悲しみや喪失感を覚えます。

 

(私事で恐縮ですが)私もこの間、コロナ感染ではありませんが、身内と親友を亡くしました。

コロナ禍ということもあって、「何もしてやれなかった、できなかった」「手を握ってお別れを言いたかった」と悔やまれてなりません。

ふとしたことで故人を思い出します。

「お前は生きよ、役割を果たせ」と言われているようです。

“生命”はなくなりましたが、その“命”は今も私のなかに生き続けています。

“生命”と“命”の違いに言及されたのは、中川米蔵先生(医学哲学・医学史・倫理学、大阪大学名誉教授)であると聞きます。

“生命”は生物学的あるいは身体的な死生観、“命”は人間のうちにある“魂”と考えます。

故人の魂としての“命”は今も私の中に生きつづけ、私を励まし傍にいるように感じます。

 

「メメント・モリMemento mori(ラテン語)」という言葉も思い出します。

「死を忘れることなかれ」という教えです。

死を見つめることは、より良く豊かに生きることにつながるということです。

人間は死にゆく存在である。

そう認識することで、与えられたこのかけがえのない“命”を大切に輝かせ、次世代につないでいきたいと思います。