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2021年1月28日 (木)

「冬来りなば 春遠からじ」

2019年12月末に発生した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界を制圧し、今もなお終息の兆しは見通せない状況です。年が明けてからは、保健医療福祉体制の崩壊危機が深刻化し、11日には首都圏1都3県に、加えて14日には2府5県に、2回目の緊急事態宣言が発出されました。感染の恐れとともに、自由が奪われ、家族や近親者との別離や隔離が続き、この事態が容易には過ぎ去らないことを思い知らされています。この苦痛と困難な生活、忍耐と希望への足踏みはいつまで続くのでしょう。

 

“冬来りなば 春遠からじ”、この原文は、イギリスの詩人シェリーの「西風に寄せる歌」の一節“If winter comes, can spring be far behind?”に基づくものだそうです。美しい日本語に翻訳され、春の訪れを待ちわびるあたたかい心になります。一方、原文は疑問文となっています。“冬が来れば、春が間もなく訪れるだろうか?”この疑問文には、困難や苦悩を乗り越えた先の期待や希望に加え、それが叶えられない焦燥や失望をも読み取れるように思います。

何かを「待ち望むこと」は、期待や希望、願いと祈りであると同時に、焦燥や失望、怒りや苦痛といった感情も生起されます。私たちは、「待ち望むこと」にどのように耐え、また支えることができるでしょう。今は、苦痛や困難や試練の意味を見いだすことが難しいかもしれない。でも、“後に分かるようになる。その意味を見いだせるようになる。”そう信じることができれば、それに耐え、希望を見出すことができるのではないか。

 

そのためには、経済合理主義優先の社会から、自然との共存、人の生命と生活と幸福を重視した価値観と社会の転換に向かって行動しなければならないでしょう。今年は、私たちの未来の方向性を変える大切な分岐点になるに違いありません。コロナ前に戻るのか、新しい未来を築くのか、その道を選ぶ時です。