コロナ禍におけるパラダイムシフト
冬場に入り、新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあるようです。また感染予防と経済の両立を図るため、人の動きも活発化しています。少し油断をすると、その隙間に忍び寄るのが感染症の恐ろしさです。大学においても、心の緩みに注意しながら教育との両立を図っているところです。
新型コロナウイルスが顕在化し、10か月が経ちます。感染予防策、行動の自粛、活動の制限が日常となってきました。大学でも、授業の約2割がオンラインで、学会やセミナー、学外の諸会議も全てがオンラインとなっています。私もコロナ前は週1度ほど出張していましたが、2月以降は一度も出張なし(控える)の状況です。とは言え、それで何か困ったことはあるかと自問しても、特に大きな事態は生じていませんし、却って仕事のゆとりが生まれているようにも感じます。これも、身近なポジティブなパラダイムシフトでもあるように思います。パラダイムシフトは、今回のような突然の環境変化の影響によって、それに適応することを強いられるが故に生じる現象でもあると実感しました。巨視的にも、産業界では運輸業や飲食サービス業、宿泊業は業績悪化の大打撃を受け、情報通信業や通販サービス業が発展するといった構造変化が起こっています。
人類進化も、今私たちが経験しているような外部圧力で生じてきたようです。急激な変化に適応し、創造性を発揮することが、人間の力です。そのためには、感性と情緒、理性や知性といった人間性を失わないようにしなければなりません。それには、身体性を伴った心の交流、対面での対話、体感(体験)を通した学びが不可欠であると思います。