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2020年6月30日 (火)

ポストコロナに向けて:利他の心

6月15日、通学による授業を再開しました。大学では、感染予防と「新しい生活様式」を取り入れながら、次第に明るさとアカデミックな活気が戻ってきています。教育の本質は、心身の共感と共創を通して学び合う“面授”にあると実感しています。

 

6月19日には、全国の移動自粛要請が解除されました。報道では感染拡大前と変わらない状況に戻りつつあり、首都圏では感染者も一時より増加傾向にあります。1918年に始まったスペイン風邪は第2波の被害が大きかったという過去の教訓を覚えると、油断なく備えが必要です。

 

4月16日に放送されたNHK「緊急対談 パンデミックが変える世界 ~海外の知性が語る展望~」でインタビューを受けたジャック・アタリ氏(フランスの経済学者・思想家)の、「利他主義への転換。『他者のために生きる』という人間の本質に立ち返らねばならない。」という言葉が印象的でした。利他の心は、他者への思いやりや配慮ある行動です。コロナ禍ではマスクをつける、手洗い・手指衛生を励行する、3密を避ける、控えめに話すなどのエチケット(マナー)が、他者の健康を守り、ひいては自分を含む私たちの日常の生活を守ることになります。利他の心は、強制や監視、管理独裁主義ではなく、一人一人が他者との信頼関係(共感)を築き、責任ある行動を主体的に示すことで涵養されるものでしょう。それには、教育こそが重要です。

 

ポストコロナの時代(21世紀)は、命と健康、生活と福祉を守る保健医療福祉・教育の時代であると改めて感じています(アタリ氏は「命の産業」と表現しています)。本学では、「生命の尊厳と隣人愛」を実践し、他者を思いやる利他の心をもった専門職業人の育成を目指します。