ぶどうの木
7月18日、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が召天されました。深く哀悼の意を表します。
本学は、日野原先生とは深いご縁に支えられてきました。本学の歴代学長は聖路加(現:聖路加国際大学)のご出身で、看護学部教員の多くも同校の卒業生です。また前学長の小島操子先生は、日野原先生に師事し、「サイエンスとアート」ということを常に触れられていました。このサイエンスとアートは、日野原先生が尊敬されていたウィリアム・オスラー医師の「医学はサイエンスに基礎をおくアートである」の言葉を、日野原先生が日々実践されていたことでもあります。保健医療福祉の専門職者は、何よりも、アートに支えられた豊かな人間性を身に付けなればならなりません。
私は日野原先生とは数度しかお会いしたことがありませんが、あたたかく穏やかな深い愛を感じる先生でした。それは、キリスト教への深い信仰が先生のアイデンティティーにつながっていたのだと思います。先生が好きな聖句に、『わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。もし人がわたしにつながっており、またわたしがその人とつながっておれば、その人は実を豊かに結ぶようになる。』(ヨハネ福音書15章5節)があると聞いたことがあります。この「わたし」とはイエス・キリストです。先生はイエスの愛につながってこられたのでしょう。そして、続いて17節には「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」という聖句があり、これは本学の建学の精神でもあります。先生もまた、イエスの愛につながり支えられ、その愛を隣人に注がれました。先生は、キリスト教信仰に基づいて立った方にこそ備え得る「愛」によって、「光」となられた方であったと思います。