「剣を鋤に、槍を鎌に」──平和をつくる日々の選択
厳しい暑さが続いています。そんな中で、80年前の夏もきっと同じように暑かったのではないかと、思いを馳せます。
大学の礼拝で紹介された、聖書の言葉が心に残っています。
「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」(イザヤ書2章4節)
この言葉は、争いを終わらせて、誰もが安心して生きられる世界をつくる未来のビジョンを語っています。ニューヨークの国連本部にも刻まれているそうです。
戦後80年、日本はこのビジョンに導かれ、戦争の惨禍を乗り越えて平和を築いてきました。しかし、今もその傷の内にある方々がいます。そして、まだ世界には多くの争いや分断があります。私たちの身のまわりにも、意見の食い違いやすれ違いがあるかもしれません。だからこそ、私たちは「剣を鋤に、槍を鎌に打ち直す」日々を選び取っていきたいのです。
世界のニュースを見ると、無力感を覚えます。祈りと願い続けることしかできません。祈りは、悲しみや苦しみに寄り添い、希望を見失わない抵抗です。願いは、明日をつくる意思です。私たち一人ひとりの祈りと願いが積み重なり、次世代へと続く平和の礎となることを信じたいと思います。
私たちが学んでいる医療・福祉・教育は、まさにこの「祈りと願い」によって、互いに支え合う共生を選び取る営みです。それは人の命と生活を大切にする姿勢そのものであり、平和を築く歩みそのものです。
いま、あらためて願います。
「もはや戦うことを学ばない」世界の実現へ向けて、私たちの学びと働きの一つひとつが、平和を築く確かな一歩となりますように。