2019年度卒業式・修了式:人々の安寧と幸福を導く 現代のクリストファーへ
今年度の卒業式・修了式は、新型コロナウイルスの感染予防策を講じ、規模を縮小しての開催でしたが、関係皆様のご理解と協力によって、伝統を守り、厳粛に執り行うことができ、心より感謝いたします。卒業生・修了生の皆さんも、この人生の大切な節目を通して、保健医療福祉教育の専門職業人としての使命と責任の自覚が深まったように感じます。今も、皆さんの喜びと誇らしい笑顔が目に浮かびます。一方、ご家族の皆様の出席がかなわなかったことは、断腸の思いです。卒業生・修了生がこの良き日を迎えることができましたのも、ご家族の支えがあったからです。心より感謝申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の終息の兆しが見えません。社会は、あらゆる面で深刻な状況に直面しています。社会の封鎖、分断と差別、感染者への攻撃や排除さえも生じています。恐れるべきは、不安や恐怖心によって、人間の理性が失われることです。このような時にこそ、目に見えない恐怖に惑わされず、冷静さを保ち、良心に従って行動することが必要です。
本学の建学の精神は、キリスト教精神に基づく「生命の尊厳と隣人愛」です。それは、聖隷の創立者たちの生き方に表されています。私たちの先人は、当時まだ不治の病で、感染の恐怖から忌み嫌われた結核病患者と共に生き、迫害と困窮に耐えながら、自らの命をも犠牲にして、隣人に愛を尽くされました。この先人が身をもって示した、自己犠牲に基づく「生命の尊厳と隣人愛」の実践が、私たちが遵守すべき信条であり、行動規範です。この信条を受け継ぐ卒業生・修了生の皆さんが、「生命の尊厳と隣人愛」の精神を実践し、社会の安寧と発展に尽くされることを期待しています。
新型コロナウイルス感染症が一日も早く終息し、世界の安寧と平安が回復することを祈ります。