グローバリゼーションの教訓
昨年12月末、中国湖北省武漢市当局が原因不明の肺炎患者の確認を発表しました。その後、新型コロナウイルス「2019-nCoV」関連肺炎であるとされ、感染拡大が懸念されましたが、1月15日には日本国内でも初の感染者が、28日には渡航歴がないバス運転手にも感染が確認されました。ひと月足らずの速さで、人から人への感染が国内にも及んだことになります。その背景には、グローバリゼーションによる人の活発な流れによる影響が大きいとの有識者の指摘です。WHO(世界保健機関)も、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました(1月31日)。しかし、本日(2月4日)時点でもなお、中国では感染拡大が続き、患者の数が2万人を超え、死亡した人も425人に上り、日本でもウイルス検査の強化と感染症対策を促しています。
本学でも、この2~3月はアメリカ(本土、ハワイ)、中国、シンガポール、インドの大学や病院・施設での交流事業や研修・実習の国際教育プログラムの期間です(グローバル教育推進センター)。しかし残念ながら、今回の交流活動はすべて中止を決定しました。学生も楽しみにしながら熱心に事前準備に取り組んできましたが、学生及び引率教職員の安全第一のためにはやむを得ない適正な判断であったと認識しています。
本学は、この地域とともに世界の保健医療福祉・教育にも貢献し得る人材の育成を教育目標に掲げ、国際教育プログラムを推進しています。そのような中、今回の事態は、グローバリゼーションと瞬く間に世界中に拡がる新興感染症の脅威を再認識させ、危機管理のあり方に大きな示唆を与えた事態でもありました。新興感染症をはじめ、学生・教職員の安全安心に対する危機管理意識をさらに高め、学内及び交流協定校との連携協力体制の強化整備に向けた教訓にします。
感染拡大が続く中国へ、各地から支援の輪が広がっています。国境を超えたグローバリゼーションの正の側面です。罹患された方々のご回復、困難な生活を強いられている方々の安寧、そしてこの感染が一日も早く終息し世界の平安を祈ります。