「命」を守り、「生活」を支え、「教育」を導く、クリストファーたちへ
3月12日、2025年度の卒業式・修了式を挙行いたしました。看護学部154名、社会福祉学部81名、リハビリテーション学部95名、助産学専攻科17名、大学院研究科18名が、聖隷の精神を胸に社会に巣立ちました。皆さんの自信と誇りに輝いた笑顔が心に残ります。
以下に、学長のことばを掲載いたします。
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2025年度 卒業式・修了式 学長のことば
本日、卒業ならびに修了を迎えられた皆さん、誠におめでとうございます。これまで皆さんが尽くされた努力と研鑽、そしてその成長を、心から祝福いたします。
また、今日まで皆さんの歩みを支えてこられました、ご家族の皆様に、感謝と敬意を表します。誠に、おめでとうございます。
あわせて、本日ご多忙のなか、ご臨席くださいましたご来賓の皆様、平素より多大なるご支援をたまわり、厚く御礼申し上げます。誠に、ありがとうございます。
さて、卒業生・修了生の皆さん。 今、皆さんが踏み出そうとしている社会は、かつてないスピードで変容し、予測を超えた出来事が次々と生じています。現在も、イラン情勢が緊迫化しています。また足元では、人口減少が加速し、生成AIをはじめとしたデジタル技術が驚異的な進歩を遂げています。このような「激動の時代」に門出を迎える皆さんに、三つの視点でお話しいたします。
第一の視点は、「地域社会の現実」を見つめることです。
現在、わが国、そしてこの地域でも、深刻な人口減少による「地域の空洞化」が進んでいます。そこには、孤独・孤立・格差といった、「地域の切実な現実」が存在します。これから地域社会を支える皆さんには、このような地域の現実を多角的に俯瞰し、大局的な先見性をもつことが求められます。私たちが目指すべきは、多様な人々がそれぞれの個性と力を発揮し、その人らしく安心して暮らすことのできる「共生社会」の実現です。そのためには、皆さん一人ひとりが、隣人、すなわち地域の人々に力を尽くすこと。その積み重ねこそが、共生社会を実現する確かな原動力になります。
第二の視点は、「テクノロジーとの共生」です。
生成AIの進歩によって、私たちの学び方や働き方、対人関係の在り方も劇的に変化しています。あと20年もすれば、AIを搭載した人型ロボットが日常生活に浸透し、AIは単なる「道具」から、共に生きる「パートナー」的存在になると言われています。そのとき、「人間の価値とは何か」ということが必ず問われるでしょう。人間の価値とは何か? 私は、それは、他者の痛みや苦しみを感じ取る感性と共感、利他的な道徳と倫理観といった、「人を愛する心」、「人を愛する心」であると確信しています。皆さんの仕事はまさに、一人ひとりの苦しみや悲しみ、喜びに寄り添い、共に歩むものです。これは決して、AIには代替できない人間だけの「聖域」です。だからこそ、皆さんには、「人を愛する心」を何よりも大切にしてほしいと願っています。
第三の視点は、「真の幸福」の探求です。
最近、「幸福」という言葉に代わって、「ウェルビーイング」、「ウェルビーイング」という言葉が注目されています。「ウェルビーイング」とは、身体的にも精神的にも、また社会的にも満たされた状態を指します。こんにち、この言葉が注目される理由は、私たちが物質的な豊かさを享受する一方で、ネット上の情報に翻弄され、デジタル化された人間関係によって、心のどこかに虚無感や漠然とした不安を抱えているからに他なりません。「生きる意味」「自分の存在意義」を見失いかけているからではないでしょうか。しかし私たちは、このような言葉が使われるずっと以前から、真の幸福を探求してまいりました。皆さんは、すでに分かっているはずです。本学の建学の精神である「隣人愛」こそが、まさに「ウェルビーイング」の本質であると、私は考えています。
「自分のように、あなたの隣人を愛しなさい」。この教えのように、自分の持てる力を隣人のために活かし、自分を成長させていく。この「隣人愛」の実践にこそが、ウェルビーイング、すなわち真の幸福であると、私は確信しています。本学で「隣人愛」の精神と、それを活かす専門的知識と技能を修得した皆さんが、これからの社会に、「真の幸福」をもたらす人になると信じています。
以上、「隣人に尽くすこと」「愛する心を大切にすること」、そして「真の幸福を探求すること」。この三つは、時代がどれほど変わろうとも、決して変わることのない人間存在の普遍的原理です。そして、これこそが建学の精神に込められた皆さんへの切なる願いでもあります。皆さん、本学で培った「聖隷の精神と、知と技」、その自信と誇りを胸に、未来を切り拓いていってください。
改めて、卒業ならびに修了、おめでとうございます。
2026年3月12日 聖隷クリストファー大学学長 大城昌平