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2026年4月30日 (木)

自分を愛すること

入学からひと月。新しい環境への緊張が解け、心身の疲れが出やすい時期ですね。本学の教育理念である「生命の尊厳と隣人愛」も、少しずつ肌で感じ始めているころではないでしょうか。

この理念の根幹には、聖書が教える「隣人を自分のように愛しなさい」という言葉があります。福祉や医療、教育を志す皆さんにとって、他者を思いやることは当然の目標かもしれません。しかし、ここで注目したいのは、その前提に「自分のように」という言葉がある点です。人を愛するためには、まず自分自身を愛し、自分自身の内側が幸せであることが何より大切なのです。

聖隷の創設者たちは、かつて「死の病」と恐れられた結核患者に寄り添い続けました。死のリスクや過酷な差別を前にしても彼らが揺るがなかったのは、「自分は神に愛されている」という圧倒的な安心感があったからです。自分が幸福で満たされているからこそ、他者に愛を分け与える自由と勇気が生まれたのです。

私たちは、目に見えない大きな力に生かされ、支えられていると感じることがあります。有名な「あしあと」*という詩にあるように、苦しい時や孤独を感じるとき、神様が私たちを背負って歩いてくださっている。

これから壁にぶつかった時は、「自分は一人ではない、かけがえのない存在なのだ」と思い出してください。その自己肯定感こそが、将来、対人援助の現場で問われる皆さんの人間観や死生観の土台となります。自分を慈しむ心が、いつか誰かを支える真の強さへと繋がっていくでしょう。


*あしあと(フットプリント)マーガレット・F・パワーズ(Margaret Fishback Powers)