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2018年8月

2018年8月30日 (木)

聖隷歴史資料館の人体骨格標本

先日、来客者があり、学内に設置してある聖隷歴史資料館をご案内しました。歴史資料館には、1926年(大正15年)、長谷川保ら若きクリスチャンによって創立された社会事業「聖隷社」の歴史の始まりから、今日の聖隷学園及び聖隷グループの沿革と史料が展示されています。我が国の保健医療福祉・教育の発展を支えてきた聖隷の事業と、その精神をみることができ、その学術的価値も大変貴重なものです。

この資料館に、1体の人体骨格標本が置かれています。その人体骨格標本は、本学創立者の長谷川保先生の献体によるものです。先生は日頃から、「神様からいただいたものは、全て神様へお返しする」と言われていたそうです。聖隷の根底にある、創立者の想いを知ることができます。

丁度その折、本学の解剖学の教授から、解剖学実習の献体について、お話を伺いました。本学の解剖学等でもお世話になっている浜松医科大学の開学当初、献体が少ない状況が続いたそうです。当時、聖隷三方原病院や聖隷浜松病院の医療、並びに本学の看護・介護福祉の教育には、浜松医科大学からの医師派遣等の医療支援や非常勤講師等の教育支援をいただいており、その献体の事情を聞かれた長谷川保先生が中心となって、献体の支援組織「新天会」を発足されました。長谷川保先生自身も、会員第一号として登録され、献体活動に寄与されました。これを契機に、会員登録者が増え、献体が不足することなく解剖学実習が可能となったとのことです。また、浜松医科大学の解剖学実習室内には、生前に聖隷病院に奉職された医師ご夫妻の骨格標本2体があり、これも新天会からの献体と聞きます。ここにも、聖隷の精神が、医学教育と医療保健福祉の発展に貢献してきた史実を知ることができます。 

全てのものは神様へ、この教えは容易に実践することはできないように思います。しかし、聖隷の歴史や本学の教育は、神様への感謝と畏敬に基づいた、先人の生き方や実践の上に成り立っていると、人体骨格標本を拝見するたびに痛切に感じます。

(参考)

・聖隷歴史資料館 https://www.seirei.ac.jp/history-material-pavilion/news-from-museum.html

・浜松医科大学白菊会 http://www.hama-med.ac.jp/education/fac-med/dept/organ-tissue-anatomy/shiragikukai.html

・「新天会」聖隷福祉事業団本部(浜松市住吉)事務所