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2017年10月24日 (火)

“糖尿病の看護”についての演習の紹介

慢性看護学実習は、慢性疾患を抱える患者と家族を総合的に理解して必要な看護について学ぶ実習です。3,4年次に行う3週間の実習に向けて、「慢性疾患にかかわる検査・治療について」の理解を深めるために“糖尿病の看護”についての演習を行っています。

慢性疾患として患者数の増加がみられる糖尿病において、インスリン治療は最も確実に血糖値を下げる方法です。早くからインスリン注射を使用して膵臓を休ませることが糖尿病の長期管理に効果的であるため、糖尿病患者の1割強がインスリンの自己注射を自宅や職場で行いながら生活しています。

現在は扱いの簡便さから、ペン型の使い捨てタイプのインスリン注射が主流です。患者にインスリン自己注射の方法を指導するため、学生も実際に使われている器具(と同型の練習用器具)を用いて、演習を行います。針を用いるので、表情も真剣です。

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 インスリンの注射は、大腿上側部や腹部の皮下に行います。演習では腹部に手作りのバンドを巻いて、そこに注射します。注射部位の皮膚を消毒して、針が垂直になるように刺します。注入ボタンを押し、そのまま6~10秒待ち、アルコール綿で抑えながら針を抜きます。 すぐに抜くと皮下から薬液が出てしまう可能性があるからです。

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また、インスリンは劇薬ですので、自宅での保管方法や、針の片づけ方についても学習します。使用済み針は血液で汚染された医療廃棄物なので、家庭ごみとは別にして、蓋のついた缶などに入れて、受診の際に医療機関に持参してもらい処分します。

 

また血糖自己測定(SMBG;Self Monitoring of Blood Glucose)についても学習します。血糖値は食事・運動・ストレスによって1日の中で変動します。インスリン注射を行っている場合、低血糖は生命に関わる合併症です。糖尿病患者は、自分で血糖測定を行うことで、血糖変化に関心が高まり、糖尿病と付き合う生活においての具体的な目安が得られます。

血糖自己測定も簡易式の測定器が進歩して、小型で操作も簡単であり、微量な血液量で測定ができるようになっています。指先を消毒した後、専用の細い針を用いて穿刺し、直径2~3mmほど血液を出します。そこにセンサーの先端を触れさせると、血液は自動的に吸引されて測定できます。

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ピッと鳴って血糖値が表示されます

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自己血糖測定、思っていたより痛くなかった。初めての測定で緊張したけれど、測定値も、82 mg/dLと基準内で一安心。実際に血糖自己測定やインスリン注射を体験することで、糖尿病患者が自己管理を続ける努力が理解できましたね。

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慢性疾患は完全に治癒することがないため、疾患や治療によって日常生活を制限するのでなく、生活の中に治療を上手に取り入れて、生涯病気と付き合いながら、その人が望む生活が送れるように、寄り添うことが看護師の役割です。