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2016年6月 3日 (金)

精神看護学実習について

 精神看護学実習に来る前の、精神看護学のイメージは「よく分からない」とか「とっつききくい」とか、とにかく未知の領域であると学生は体験しているようです。実はそんなに未知の領域ではありません。よく学生は「患者さんのこころに寄り添いたい」と思って看護学部に入ってくるのですが、そのこころに寄り添う姿勢を学ぶ実習だからです。

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 患者さんを目の前にすると、私たち援助者は病的なところを治していく視点や科学的根拠・データ重視の客観的視点に偏っていく傾向があります。科学的根拠重視の考え方はもちろん重要です。しかし患者さんが病と闘いつづける大変さや苦悩などの主観的な体験に寄り添える援助者として存在していることも同じくらい重要なのです。

 その客観的な視点と、患者さんの体験している主観的視点がうまく調和して一人前の看護になるのだと思います。精神看護学実習ではその患者さんが体験している主観的な視点を大切にアプローチします。

 具体的な進行としては、患者さんと語り合ったり、レクリエーションを楽しみながら患者さんの主観的な体験やその人らしい生き方を考えたり、また自分という人間がどういう人間かを考えていきます。それはとても骨の折れる作業なので、「精神の実習はレクをやっていて、楽しくて体は疲れないはずだけど、なぜか疲れている」と感じる人が多いようです。それは、患者さんの主観的な体験やその人らしい生き方という、答えがわからないことに身を置き続ける疲労なのでしょう。しかし、看護とは人間を扱っているので答えはありません。そうやって「なぜか疲れている」ときは、学生の看護が磨かれている証しなのだと思います。  

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                          精神看護学 清水隆裕